私が文献を手繰る中で、「クリームメロン」と呼ばれた美味しいマスクメロンの存在を知りました。このメロンはその名の通り甘くクリーミーな肉質と高い香りを持ち、試食に参加した有識者からはとても高い評価を得たという。 しかし栽培が難しく、果実が小さく、またきれいな網目も出ないといった問題があった。味と香りは突出していたのだが、それ以外が基準に満たないため消えていったと文献には書かれていた。文献にはさらに興味深い逸話を紹介していた。 このメロンの母親はヒーロー・オブ・ロッキンジという白肉系のメロン。 この種は英国女王エリザベス2世の戴冠式に出席するためイギリスに行かれた秩父宮妃殿下が、お付きの麻生和子(吉田茂首相の娘)氏に、香り高いメロンの種を集めることを頼み、麻生氏が苦労の末に入手してイギリスから持ち帰った中の一つであると書かれていた。 私の「クリームメロン」への興味は益々募り、その種を探し2011年ついにある研究所の奥にこの種が眠っていることを突き止めました。 この種を様々な緑肉系(アールスフェボリット)の種と掛け合わせ改良を繰り返しました。 そしてたどり着いたのがヒーロー・オブ・ロッキンジとアールスフェボリットの特徴を併せ持つ現代のクリームメロン「天使音マスクメロン」です。